壊れたココロ
「華奈。今日は付き合ってくれてありがとう。
やっぱり格好良かったなぁ、名前もわかったし、あたし絶対にS高に入る!
華奈っ、一緒に合格しようね。」
「うん。頑張ろうね。」
「じゃあ、また明日ね!」
何も知らず無邪気に手を振るトモの笑顔がなんだか辛かった。
…でもトモには絶対に言えない。
ただの知り合いどころか、個人的に家庭教師をしてもらってるなんて知ったら、変に勘違いされそうだし…。
…それに、海斗の事を話したら、陸さんへの想いもトモに知られてしまう。
後ろめたい事は何もしていないのに、ただトモへの罪悪感だけは大きくなっていった。
そういえば、海斗は好きな人も彼女もいないって言ってたけど、高校であんなにモテてるのに本当にいないのかなぁ。
もしかしたらあたしに隠してるだけなんじゃないのかな?
海斗の事がますますわからなくなっていた。