壊れたココロ
陸さんのいるあたしの部屋は、今までとはまるで別世界となり、嫌気が差していた勉強も素直に受け入れられた。
勉強の合間にチラッと盗み見をする陸さんの横顔にはあたしを癒す力があった。
こんな勉強時間なら何時間あってもいい、あたしは毎回のようにそう感じていたが、思うようにはいかない。
トゥルルル…。
ピッ。
「はい!今すぐ行きます。」
あ〜あ…。
今日はもうタイムリミット。
「ごめんね、華奈ちゃん。また来るからっ!」
そう言うと陸さんは急いで部屋を飛び出した。
陸さんの仕事は消防士だった。
そんな不規則で多忙な陸さんがあたしの家庭教師を引き受けてくれたのには訳があった。