壊れたココロ
「よし、今日はここまでにしよう。」
陸さんは今日は少し早めに切り上げた。
「じゃあ、ちょっと待ってて下さい、お茶入れてきます。」
「いいよっ、もう帰るから!」
「そんなこと言わずに一杯だけっ!!待ってて下さいね!」
あたしは少しでも陸さんと長く居たくて、強引に引き止めた。
陸さんの好きなコーヒーを入れ2階に運んだ。
「おまたせしました。」
「ありがとう。」
カップに手をかけ、ブラックコーヒーを飲んでいる陸さんはすごく大人に見えた。
「そういえば、華奈ちゃん今日どうして遅かったの?珍しいよね?」
ふと思い出したかのように陸さんが言った。
「あぁ…、友達の付き合いで、ちょっとS高に行ってたんです。」
「S高に?
へぇー、海斗に会った?」
「あ、はいっ。
偶然見かけました。」
陸さんが海斗の話を出した事がきっかけで、あたしは今日の海斗の姿を思い出した。