壊れたココロ
ジリリリリ…!!
続くように館内には非常ベルが鳴り出し、その音にみんなが焦りはじめ、より一層慌ただしくなった。
その時、皆の騒ぎ声や子どもの泣き声を打ち消すかのような放送が聞こえた。
『食堂より火災発生、館内にいる方は直ちに避難して下さい!!』
館内放送が流れ、周りのみんなが一斉に下に向かって走った。
あたしもっ!!
そう思い、階段を降りようとしたが、下に踏み出すはずの一歩が急に止まった。
教科書と参考書!!
…それに海斗がくれたクローバーのしおり!!
そう気付いた瞬間、頭で考えるより先に、体が3階へ向かっていた。
まだ大丈夫なはず、取りに戻れる。あたしは自分にそう言い聞かせて夢中で走った。
…だってあの教科書と参考書は他と代えられない!!
そう思うと、何がなんでも取りに行かなくちゃと強く思った。