壊れたココロ
陸さんに初めて会ったのは、あたしが小学生の頃だった。
恋どころか、人を好きになるという感情すら知らなかった幼いあたしは、陸さんを初めて見た瞬間に今まで感じた事もない衝撃におそわれた。
黒目が大きいまっすぐな目で、あたしの身長に合わせて腰を落とし、優しく包むように頭にポンと手をおいた。
「はじめまして。」
その声と仕草に全身が固まった。
まるで金縛りにあったかのように視線すらその瞳からそらすことが出来なくなった。
しばらく胸のドキドキが止まらず、初めての経験にあたしのその記憶は、鮮明に脳裏に残った。
のちにそれが初恋だと気付いたのだった。