壊れたココロ


部屋に入ると、陸さんは早速教科書を開き、勉強モードとなった。


あたしも久しぶりの陸さんとの部屋で2人きり、なんていう余韻に浸ることなく気持ちを切り替えた。


陸さんの教えかたは、海斗とは異なり、1問1問丁寧に教えてくれる。


勉強が進むにつれて、教科書の陸さんの書き込みが増え、それだけであたしはやる気が出た。


ほとんどノンストップで勉強すること2時間、部屋をノックする音が響いた。


「ちょっと一息入れたら?」


お母さんがコーヒーとお菓子を持って部屋に入ってきた。お母さんはそれをテーブルの上に置くと、すぐに部屋を出た。


「華奈ちゃんがあまりにも真剣だから休むの忘れてた、ちょっと休もうね。」


あたしは陸さんの言葉に机の上を一旦整え、シャープペンをペンケースに戻そうとした時、中からクローバーのしおりを床に落とした。


海斗にもらったやつ。


あたしがしおりを拾おうとすると、陸さんが先に拾いあげてくれた。


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