壊れたココロ


なんだか、海斗にしては可愛らしいエピソードにあたしもなんだか微笑ましくなった。


「…それから一年もしない内に、父さんは亡くなったんだけど、父さんが亡くなった後、海斗は毎日あの土手に通ってさ、ひたすら四つ葉のクローバー探してたんだよ。冬だったから四つ葉のクローバーどころか、枯草ばかりの土手でね…。」

「母さんや俺がいくら言っても止めなくてさ、父さんが死んだって事を理解するには少し幼かったし、だからといって全くわからない年でもなかったから、中途半端に理解して混乱してたんだろうね。必死に探すその姿みるのが切なかったよ…。」

「とうとう見付けられないままで、自分がクローバー見付けられなかったから父さんは死んじゃったって大泣きしてさ、それをきっかけにやっと父さんはもう戻って来ないって理解したのか、それ以来四つ葉のクローバーを探しに行かなくなったんだ。」


…そんな過去が海斗にはあったんだ。陸さんの話を聞いてなんだか切なくなってきた。


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