壊れたココロ
イルミネーション
街にはクリスマスソングが流れ、きらびやかに飾られたツリーや街路樹の装飾が目立つようになってきた頃、あたしは浮かれる事もなく受験勉強に日々明け暮れていた。
最近では、陸さんも休みなしのハードな仕事のスケジュールにほとんど家には来ていなかった。
それとは逆に、冬になり部活の時間が短くなった海斗は、陸さんの穴埋めをするかのように毎日ひたすら来てくれていた。
陸さんから海斗の四つ葉のクローバーの話を聞いてから、あたしは少しだけ海斗の心の内を知り、以前より海斗に対する態度を改めた。
海斗は相変わらず淡々と勉強を進め、無駄な事は一切話さなかった。
陸さんとなら少し寂しさを感じる無言の時間も、海斗となら居心地の良ささえ感じられた。