壊れたココロ
受験生には無縁のクリスマスが近付いてきた。
正直、あたしはクリスマスに特にこだわりはなかったが、ここ最近夜遅くに隣の部屋から聞こえてくるお姉ちゃんの電話での話し声が気になった。
陸さんとお姉ちゃんはお互い忙しく、しばらく会っていないようだが、どうやらクリスマスには2人休みを合わせて旅行に行く計画を立てていた。
恋人同士ならそんなことは珍しい事でもないのだが、お姉ちゃんの浮かれた様子に、あたしは日に日に忘れ掛けていた嫉妬心が掻き立てられていた。
その都度あたしは、陸さんはお姉ちゃんの彼氏なんだと何度も自分に言い聞かせ、隣の部屋から聞こえてくるお姉ちゃんの声をかき消すかのようにヘッドホンをしながら勉強していた。
大好きな相手の幸せも願えない自分を、これ以上嫌いになりたくなかったし惨めにも思いたくなかった。