壊れたココロ
クリスマスイヴの朝、お姉ちゃんはバタバタと慌ただしく出掛ける準備をしていた。
あたしは朝からお姉ちゃんを避けるように、部屋にこもっていた。
いつもなら勉強をしているはずだが、今日だけはいまいちやる気になれず、ベッドに入ったまま、ただゴロゴロしているだけだった。
ブヴーン、ガチッ
バタンッ
この音は…。
ピンポーン。
その音にお姉ちゃんは玄関に走って行きドアを開け、テンションを更にあげたトーンで陸さんと話していた。
あたしは、いてもたってもいられずベッドから出ると、そっと窓の外を見下ろした。
玄関前には陸さんの黒の大きなワゴン車が停まっていた。
いいなぁ…、あたしもあの車に乗ってみたいなぁ…。
そんな事を考えながら窓の外を見ていると、陸さんがお姉ちゃんの荷物を抱えて出て来た。
後部座席のドアを開けると、中には陸さんの旅行用のバックも入っていて、その隣にお姉ちゃんの荷物を並べて置いた。
あたしにはそんなことさえも羨ましく見えていた。