壊れたココロ
…出掛けるって一体どこに?
あまりに唐突すぎて、疑問に感じながらも、あたしは海斗の言う通り、厚着をし出掛ける準備をすると下へ降りた。
リビングのドアを開けると、海斗はお茶を飲みながらお母さんと話していたが、あたしの姿を見ると、飲んでいたカップをテーブルに置いた。
「じゃあ、遅くならないように帰ってきますので。」
「いってらっしゃい。」
海斗はお母さんにそう一言言うと、リビングを出て玄関に向かい歩き出した。
お母さんはニコニコと手を振っていた。
「行くぞっ!」
スタスタと歩く海斗の後を追うように、あたしは何も聞かずただ付いていった。
外に出ると、家の門の前には大きなバイクが停まっていた。
…このバイク…。
「今日、ちょっと行きたいところがあってバイクで来たんだ。」
そう言うと、海斗はヘルメットを取りだしてあたしに被せた。