壊れたココロ
バイクにまたがりヘルメットを被った海斗は、あたしを見ると後ろの座席をポンポンと叩いた。
「乗れるか?」
あたしはよじ登るように海斗のバイクの後ろに乗ると、海斗はあたしの両手を自分の腰に回した。
「そんなに飛ばさないけど、しっかり掴まっとけよ。」
そう言うと、海斗はバイクのエンジンを掛け、どこかに向かって走り出した。
海斗が高校生になってからバイトをして免許と、バイクを早々と買ったのは知っていたが、乗っているところを見たのは初めてだった。
まさか、あたしを乗せてくれるとも思わず、正直驚いていた。
生まれて初めて乗ったバイトの後部座席は思っていたより乗り心地が良く、全身に響くバイクの振動はなんともいえない快感さえ感じられた。