壊れたココロ
真冬のバイクはもっと寒いかと思っていたが、海斗が風よけとなっているのと、背中にぴたっとくっついていることもあり、意外に温かく感じた。
背中越しに見える景色から、どうやら海斗は高台の方へ向かっていた。
どこに行くのかさっぱり見当がつかなかったが、坂を上る途中で見える街の灯りが綺麗で、どこに行くかなどはもうどうでもよくなっていた。
坂を上りきると、そこには展望台のような所があった。
スピードを緩め、展望台近くにバイクを駐車すると、海斗はバイクから降り、あたしを抱えるようにして座席から下ろしてくれた。
「…ありがとう。」
いつもと違い優しい海斗にあたしは少しぎこちなくなっていた。
「こっち来てみな。」
展望台にはベンチがいくつかあり、その内の1つに海斗は腰掛けあたしを呼んだ。