壊れたココロ


家の前に着くと、あたしはバイクから降りヘルメットを海斗に渡そうとした。


すると、海斗は差し出したヘルメットを受け取る事なく言った。


「それはお前用だから、華奈が持ってて。
また落ち込んだら俺が気晴らしにどっか連れて行ってやるから。」


「えっ、これもらってもいいの?」


「ああ。」


こんな高そうな物…本当にもらってもいいのかなぁ…。
…あっ!!
その時とっさに引き出しの中の物を思い出した。


「海斗っ、ちょっとここで待っててっ!!」


そう言ってあたしは家に入り急いで部屋へアレを取りに行った。


袋を抱え再び海斗のところへ戻ると、あたしはそのまま袋を海斗に差し出した。


「これっ。」


海斗は不思議そうに袋の中を開けた。

< 94 / 104 >

この作品をシェア

pagetop