壊れたココロ
「ずっと渡そうと思って持っていたんだけど、なかなか渡す機会がなくて…、プレゼントとかじゃなくて、今までに色々迷惑掛けたからそのお礼なんだ…。」
海斗は袋の中に入っていたスポーツタオルを出すと、今までに見たことのないような顔で笑った。
「ありがとう華奈。」
たいした物じゃないのに、喜んでくれた海斗がとても意外だった。
「じゃあ、風邪引くから早く中入れよ。」
海斗はそう言うと、バイクを走らせ帰って行った。
海斗を見送るとあたしは家の中に入った。
部屋に戻ると、テーブルの上に置いたヘルメットがやけに強調され目についた。
ピンクでまとめられた部屋の中にぽつんとあるパステルカラーのブルーは違和感があった。
暗闇でよく見えなかったが、部屋でみるヘルメットはあたしの一番好きなの色だった。