壊れたココロ
受験日前日、あたしはわりと落ち着いていた。
最終日となる家庭教師の日はやはり海斗だった。
今日は短時間のテストだけで終了の予定だったので、お母さんが終わるのを見計い、海斗へケーキやお菓子やらと持ってきた。
「海斗くん、今までありがとうね、今日はゆっくりしていってちょうだい。」
「ありがとうございます。」
そう言ってお母さんは部屋から出た。
「いよいよ明日だな。お前緊張してる?」
コーヒーを飲みながら海斗が聞いた。
「それが意外と全然。」
あたしもコーヒーに手をかけながら答えた。
「あっ、ここのケーキ屋さんのタルト、めちゃくちゃ美味しいんだ。お母さん奮発したなぁ。」
緊張感など全くないあたしは、タルトのケーキを早速食べた。
「その食い気があれば余裕だな。」
あたしの食べっぷりを見た海斗は笑いながら言った。