メトロノーム

何に焦ってるの。何に急かされてるの。あなたは、何が恐いの。

飲み込んだ問いは、胃に落ちて、ぐるぐると重りになってゆく。



「どこ行くのー?」

「内緒」


このやり取りは毎回お決まりだ。

ヒーローの決め台詞みたいに、生クリームには苺みたいに、いつもいつも。


どうせ、結局はホテルだ。

そこらをぐるぐる回って、ご飯でも食べて、いい映画があれば見て、最終的には。


私だってわかってるくせに。
あなただってわかってるくせに。
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