"ありがとう"を君に



そう言い、陽一と女が出て行った。

暇だし、俺も昼寝しようかといつもの屋上の片隅にある影に移動しようと思った。


その時、如月って女の声が微かに聞こえた。


「……ご………」

何言っているのか聞こえない。
もしかしたら、俺の聞き間違いか?


そして、もう一度如月に近づいた。



「……………。ごめんなさい」

始めは聞こえなかったが、最後の「ごめんなさい」だけは聞こえた。




< 33 / 111 >

この作品をシェア

pagetop