"ありがとう"を君に
「いいね、そういう記念日って!」
そう美咲が言った時、悲しそうな目をしていた。
そして小さく、ほんの聞こえるか聞こえないかくらいの声で"記念日"と繰り返した言葉が聞こえた。
美咲にとっては記念日は特別なのか?
今まで付き合った彼氏がいるのなら、そんな言葉聞き飽きてるだろ?
疑問に思った俺はつい聞いてしまったんだ。
「記念日って言葉聞き飽きてるだろ?」
「………ッ。始めて言われた。
私今まで誰とも付き合った事ないし、誕生日だって一応記念日だけど、何もしてもらってないから、さ?記念日に誰かに居てもらえるのって私にとっては貴重なんだ…」
そうだったんだな。
「なら、俺が記念日に一緒にいてやるよ」