Cross Over
どうやって、自分のマンションまで帰ったか覚えていない。



車から降り、真っ暗な誰もいないマンションの部屋へ入る。



電気をつけ、ソファに座る。




ため息をつき、頭を抱える。






先ほどの、軽率な言動をしていた自分が腹立たしくて震える。




先がないのに。



先が見えないことはわかっていたのに。




あの日、エレベーターの前で再会してから。




久し振りに見た莉菜の姿に。



俺は冷静じゃなくなっていたんだ。




近付いたんだ。傍にいたくて。




莉菜の幸せも考えずに。



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