Cross Over
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ふと顔をあげると、莉菜は昨日と変わらぬ姿のまま目の前に横たわっていた。
莉菜の手を握ったまま、気がつかないうちに寝てしまっていたようだ。
ゆっくり立ち上がり、窓のカーテンを開ける。
窓を開けると、優しい風が入ってきた。
風が、花瓶に飾れた赤い花と、眠っている莉菜の髪を静かに揺らす。
莉菜に近づき、
髪にそっと触れる。
怖い思いをさせて、
ほんとにごめん。
莉菜が幸せに笑ってくれるのなら、
それでいい。
まだ
まだなんにも、
莉菜のことも知れてないのに。
これから、二人で過ごしていくはずだったのに。
胸が苦しい。
ぎゅっと莉菜の手を強く握った。
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