Cross Over
過去
入院してから約2週間が過ぎた頃。
そろそろ退院してもいいと担当医からの許可がおりた。
あのあと、仕事の帰りに何度か澪がお見舞いに来てくれた。
まだぽっかり空いた記憶は思い出せていない。
とうとう、彼は病室に現れなかった。
彼に一度も会うことなく、退院することになってしまった。
よほど病院で会った彼を信用したのか、母は、仕事が忙しいのよ、また連絡が来るわと、相変わらず呑気な言葉を口にしている。
そんなに大切に、真剣に想ってくれているのなら、どうして急に病院に来なくなったのだろう。
本当に母の言うとおり、急な仕事が入ってしまったのか。
それとも。
目を覚ます直前まで居たのに、覚ました途端にいなくなる。
それは偶然とは思えないような気がして、謎が深まる。
どうして、目の前に姿を現してくれないのか。
つきっきりでいてくれたのなら、目を覚ましたことを喜んでくれるはず。
それなのに、恋人の意識が戻ってから、2週間も会いにきてくれないなんて。
顔すら思い出せない恋人だが。その行動に、不審な気持ちと、少し怒りに似た気持ちが芽生える。
でも、忘れてしまったくせに、そんな風に思うのも筋違いだよね。
母の言うとおり、本当に仕事が忙しいのかもしれない。
複雑な気持ちを持ったまま、母の車に乗り込んだ。
自分の部屋に帰れば何かがわかる。
部屋に帰ったら確認したいと思っていたものがある。
期待と、どんな過去の出来事が自分を待っているのかという不安。両方を抱えながら、車は自宅へと向かった。
そろそろ退院してもいいと担当医からの許可がおりた。
あのあと、仕事の帰りに何度か澪がお見舞いに来てくれた。
まだぽっかり空いた記憶は思い出せていない。
とうとう、彼は病室に現れなかった。
彼に一度も会うことなく、退院することになってしまった。
よほど病院で会った彼を信用したのか、母は、仕事が忙しいのよ、また連絡が来るわと、相変わらず呑気な言葉を口にしている。
そんなに大切に、真剣に想ってくれているのなら、どうして急に病院に来なくなったのだろう。
本当に母の言うとおり、急な仕事が入ってしまったのか。
それとも。
目を覚ます直前まで居たのに、覚ました途端にいなくなる。
それは偶然とは思えないような気がして、謎が深まる。
どうして、目の前に姿を現してくれないのか。
つきっきりでいてくれたのなら、目を覚ましたことを喜んでくれるはず。
それなのに、恋人の意識が戻ってから、2週間も会いにきてくれないなんて。
顔すら思い出せない恋人だが。その行動に、不審な気持ちと、少し怒りに似た気持ちが芽生える。
でも、忘れてしまったくせに、そんな風に思うのも筋違いだよね。
母の言うとおり、本当に仕事が忙しいのかもしれない。
複雑な気持ちを持ったまま、母の車に乗り込んだ。
自分の部屋に帰れば何かがわかる。
部屋に帰ったら確認したいと思っていたものがある。
期待と、どんな過去の出来事が自分を待っているのかという不安。両方を抱えながら、車は自宅へと向かった。