Cross Over
真実







どこに向かっているかはわからないが、



会社の周辺をひたすら走った。





・・・くそっ・・


どこだ・・・






息を切らしながら考える。





そんな遠くには行かないはずだ・・



二人が入るような・・

きっと人気のない静かな場所ーー・・








その時。






道路の向こう側。





小さな倉庫の扉が少し

空いているのが目に止まった。












何故かはわからないが、




見た瞬間、走り出していた。











大きな音を立てて扉を開ける。








ーーーー!










薄暗い倉庫の奥。












奥に人影が見えた。










ーーーーー。





地面にうずくまっている莉菜が


そこにいた。











『ーーー莉菜!!』








声をはりあげて莉菜へ駆け寄る。




莉菜の向かいに膝をつく。









『莉菜!大丈夫か!』





莉菜の肩を掴む。









莉菜はうつむいたまま肩を震わせている。






ふと莉菜の手元に視線を落とす。












右手を、左手で抱え込むようにしてうずくまっている。



その手は、小刻みに震えていた。







ーーーー。





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