Cross Over
先輩の車に乗る。
ドキドキと胸が高鳴ったまま、助手席に座る。
新崎先輩って、こんな車に乗ってたんだ・・・。
黒い外国製のセダン。
いかにも高級な車に緊張した面持ちで乗り込んだ。
ふと、
運転席に座った先輩が笑った。
『えっ・・なんかあたしっ・・可笑しかったですか?』
慌てたように新崎先輩に問いかける。
『・・いや。』
笑いを抑えて新崎先輩が言った。
『緊張してんだなーと思って。』
そう言い、新崎先輩がこちらを見て、ふと頭をポンポンと撫でた。
・・・・っ!////
一瞬にして顔を赤らめてうつむく。
『大丈夫。俺も緊張してるから。』
ふと気を緩したかのように微笑んで先輩がつぶやいた。
え・・・
目を丸くして先輩を見つめる。
先輩も・・緊張してる?・・
そんな風には全く見えないような先輩が、落ち着いた様子で、車のエンジンをかけた。
全く緊張してるのは私だけのように感じる・・・。
そう思いながら先輩を見つめていると、
『何、食べに行く?お腹、空いてる?』
ハンドルに手をかけこちらを見て、先輩が言った。
『えーっと・・・』
先輩に見つめられると、まだまっすぐ目を見れない・・。
恥ずかしさを隠すようにうつむく。
『先輩はお腹空いてますか?』
ふと、聞くと先輩が答えた。
『俺さっき会社ん中でちょっと腹に入れたんだ。でも、莉菜に合わせる。食べようと思えばまだ食べれるし。』
落ち着いた様子で先輩が話す。
じゃあ、と言葉を返した。
『どこか、先輩とゆっくり話せるところがいいです。あたしも、さっき実はお菓子とかいろいろ食べちゃったので・・・それより先輩と話せるところがいいですっ』
先輩の方に体を向け言うと、先輩が優しく微笑んだ。
『わかった。じゃあそうしよう。』
そう言いながら、
次は頭を優しく撫でるように軽く触れて、微笑んだ。
ドキっと、胸が脈打つ。
あー・・ほんとにこんな幸せでいいのかな・・。
でも、先輩かっこよすぎて、心臓が持たないよー・・・
一人ドキドキと胸を高鳴らせる。
車はゆっくり動き出した。