Cross Over



ーーーー。




ふと、気がつき目を覚ます。



ゆっくり体を起こし、ベッドの隣に目を向ける。


 




隣に新崎先輩の姿はなく、部屋の奥からシャワーの音が聞こえている。





あたし・・・


・・・気付いたら、また眠ってしまってたのか。




ふと部屋の時計を見ると、11時すぎをさしていた。







今日は祝日。


休みでよかった・・・。






ふと、息をつきシャワーの音がするほうを眺める。






・・先輩、あの後、先に起きたんだ。











ベッドに座りこんだまま、部屋を見渡した。





そういえば。

昨日の夜は、あんまりゆっくり見れてなかったけど・・・




まだぼーっとする頭で、ゆっくり辺りを見回す。






先輩のマンションってすごい部屋だな・・。




広い部屋を見渡す。





広いリビングにダイニング。


奥には寝室。



あまり物はなく、シンプルに片付けられた綺麗な部屋。





部屋の奥にある小さなテラスからは、外の景色が一望できる。





・・・先輩、仕事もできるし、こんなすごいマンションに住んでてもおかしくないよね。





一人寝起きの頭で考える。






すごいなー・・・こんな素敵な人とあたし・・・





一人うつむいていると、
ふと扉の開く音が聞こえた。







濡れた髪をタオルで乾かしながら、


Tシャツ姿の先輩が部屋に入ってきた。






『・・・///』



ドキっと胸が高鳴る。




部屋に入るなりこちらを見て、先輩が微笑む。






『ゆっくり休めたか?』






優しい目で微笑み問いかける。






『・・・っ////』






その姿に思わず見とれてしまったが、ふと我にかえり声を出す。




『・・はいっ・・///』





先輩・・・・

かっこいいー・・・////





私の返事にふっと目を細め、


ペットボトルの水を飲んだあと、リビングのテーブルに置いた。




・・・先輩のスーツ以外の姿って、

初めて見たかも・・





黒のTシャツに、ゆるいジーンズ。

ラフな格好だが、そのスタイルにはまる姿に思わず見とれてしまう。





濡れた髪が、また色っぽく先輩の姿を際立たせる。





口を開けたままその姿に見とれていると、

ソファに腰掛けながら、先輩がつぶやく。





『・・・ところで』




こちらを見ずにゆっくり言葉を発した。



『全部見えてるけど。』







・・・・・・。





ゆっくり自分の体に視線を落とす。






その途端、頭が真っ白になり一瞬にして顔が熱くなった。






『きゃぁあああっ・・・・!/////』





小さな悲鳴のような、驚いたような声をあげ、咄嗟にシーツで体を隠す。







小さくこらえるように先輩が笑う。







『・・・・っ////』




やだぁーーー・・・・っ!恥ずかしいよぉー・・・・っ・・






シーツに顔の半分までうずめて、先輩のほうを恐る恐る見る。





笑いながらテーブルに肘をつき、
余裕のある笑みを浮かべて、先輩がこちらを見る。




『別に、そのままでもいいけど?』





『・・・・っ!/////』






そう言うとゆっくり立ち上がり、こちらに近づいてくる。




体が強張り、身動きがとれない。






ベッドの隣に座り、ゆっくり体を近付けてくる。




『・・なに?誘ってんの?』



・・・っ!////



首を横にふりながら答える。




『そっ・・!そんなわけっ・・・!////』



『知ってる。』






先輩の大きな手が、ゆっくり体を抱き寄せる。

ふっと優しく目を細め、キスをする。




・・・・・・・・





素肌に先輩の手が触れる。



まだ濡れている髪がひんやりと顔に触れた。





・・・・っ・・







唇を離すと、ゆっくりと胸に抱き寄せられた。




『・・・莉菜見てると、いじめたくなるみたいだ。俺。』





優しく髪を撫でられながら、ぎゅっと抱き締められる。






悪かった、と優しく頭を撫でる先輩の胸に寄り添い、顔を赤らめる。





先輩の余裕のある雰囲気。


少し強引で意地悪な言動にも、


翻弄されながら、身を委ねたくなる自分がいる。




包容力のある大人の雰囲気に、


包まれていると安心する。






ぎゅっと、先輩の背中に手をまわし抱きつく。





『先輩にだったらいいです・・っ。意地悪されてもっ。』




胸に顔を寄せながらつぶやいた。





ふっと先輩が微笑んだのを感じる。






『・・・わかった。じゃあもう容赦しねえ。』




優しい目をした先輩に、顎に手を添え、上を向かせられる。






『でも。俺の余裕が持たねえな。』




そう言いながらふっと笑うと、

その笑みをみて見つめ合い、一緒に微笑んだ。




ゆっくりと

さっきより深く口付けられる。




ーーーー。



先輩の温もりに身を任せるように、


ゆっくり目を閉じた。






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