Cross Over
幸せ
『『かんぱーーいっ!!♪』』
グラスのぶつかる音が響く。
佐山先輩が思いっきりビールを飲み干す。
『・・・っかぁ~~~~っ!!仕事あとのビールほど美味いもんはないっ!!!』
『オヤジかよ。』
空のビールグラスをテーブルに勢いよく置いた佐山先輩に、間髪入れず新崎先輩の突っ込みが入る。
数日後の金曜の夜。
シゲちゃんのバーで
4人でグラスを交わす。
『あ!あの人綺麗~っ!♪』
澪がビールを飲みながら、シゲちゃんを指差す。
『あーシゲちゃんねっ』
澪に微笑んで答えると、佐山先輩がしーーっ!と口の前に指を立てる。
シゲちゃんがこちらに気付き、カウンターからこちらに手を振った。その際、佐山先輩に向かってウインクをした。
佐山先輩が、明らかに苦笑いをしながらガクガクと手を振り返す。
澪が言う。
『"シゲちゃん"て。あの人まさか・・。』
澪がきょとんとしながら、見つめる。
ふふふ、と笑いながらビールを少し飲んでいると、
新崎先輩が澪に言葉を返した。
『シゲはいいやつだ』
ビールを飲む新崎先輩のあとに、げっそりしながら佐山先輩がつぶやく。
『・・・野郎だけどネ・・。』