Cross Over
タクシーから降り、先輩と二人、マンションの入り口へと入る。
酔っ払いテンションの高い澪と佐山先輩に手を振り、店の前で解散したあと、
『俺んとこ。来るか?』
と新崎先輩に左手を繋ぐように差し出された。
顔を赤らめて頷き、右手を繋いだ。
『楽しかったですねっ。』
部屋に向かう通路を歩きながら、新崎先輩を見上げる。
ああ、と新崎先輩が呆れたような笑みで息をついたあと、
・・でも、と言葉を続けた。
『あいつら、テンションあがりすぎだな。』
ふふふ、と小さく笑うと先輩を見上げる。
『先輩が落ち着きすぎなんですよ。』
クスクスと笑うと、
先輩が、そうか、と部屋の鍵をあける。
・・・?
鍵を開ける先輩を見上げる。
・・・あれ・・・?
言葉がなくても、その微妙な空気の違いに気が付いた。
なんかいつもと違う・・・?
伺うように、隣から先輩の顔を見上げる。
なんか・・・
もしかして・・
先輩・・ちょっと不機嫌・・・?
表情を変えないまま鍵をあけ扉を開ける先輩の様子を伺う。
さっきまで・・普通だったのに・・
二人になった途端、雰囲気が変わった気が・・
扉を開け先に入れと促す先輩に従い、
先輩の様子を気にしながら玄関に入った。
その途端ーーーー。
ーーーー。
突然腕を掴まれ、ドン。と壁に背中を押し付けられた。
・・・・・!
『・・・せっ・先輩っ・・』
手が壁に押し付けられる。
『・・俺が落ち着いてるように見えるか?』
先輩が、目を細めてつぶやいた。
・・・・!
何も言えず、固まったまま先輩を見る。
『飲んでる間。俺が何したかったか教えてやるよ。』
・・・・!?
ネクタイを緩めながら、普段の余裕がない様子で顔を近付ける。
『・・・・っ・・!』
壁に押し付けられたまま、唇を重ねられる。
いつもより少し強引なキスに体が硬直する。
先輩の大きな体に覆われ、成す術がない。
一度唇を少し離し、また触れそうな距離で先輩が言った。
『・・・・可愛いすぎんだよ。俺以外の男の前で、あんな表情すんな。』
『・・・・っ!///』
その言葉が聞こえた途端。
さっきより深く口付けられる。
腕を掴んでいる手に、更にぎゅっと力が入り壁に押し付けられる。
『・・・・・ん・・っ・・』
いつもより強引で深い舌の動きに、息が漏れる。
・・あんな表情って・・・
頭の中で店の中のことを思い出す。
ピアノの話題の時の、恥ずがっていた自分が頭をよぎる。
もしかして先輩っ・・・
ヤキモチ・・・?・・
『んっ・・・せんぱ・・っ・・・』
唇が離れる少しの間に、声を出すが、またすぐ舌が浸入してくる。
頭がぼうっとし、体の力が入らなくなる。
ドサッ、と持っていたバッグを玄関に落とす。
『・・莉菜・・・』
深いキスの合間に先輩が名前を呼んだ。
きゅっと、愛しさで胸が締め付けられる。
先輩が片方の手に持っていた、自分の鞄を玄関に落とす。
そしてその空いた手を、壁と背中の間に入れ、
ぎゅっと背中を抱き寄せる。
『・・ん・・・っ・・・』
『もう我慢できね。』
キスを続けながら背中に回った手が、そのまま服の中に浸入して、下着のホックを簡単に外す。
『・・・・!?先輩っ・・!だめっこんなとこでっ・・・・・んっ・・』
驚き、先輩の胸を押しかえそうとした手も、
言葉を塞いだ深いキスに力が入らなくなる。
先輩の膝が足の間に入り込んで、無理矢理両足が少し開く。
前とは違う先輩の激しいキスに、もう身体全体の力さえ入らなくなる。
『莉菜・・』
体の力が抜けたのを見計らった先輩が唇をゆっくり離し、ぎゅっと身体を抱き締めた。
『好きだ・・』
『・・あたしも。先輩・・好き・・ですっ・・』
ぼうっとした頭で、先輩の首に手をまわす。
先輩にふっと、身体を抱き抱えられすぐに寝室に連れて行かれる。
そのまま、お互いの身体を思うまま感じあった。
ーーーーー。