Cross Over
ーーー。
うっすら目を開ける。
意識がまだはっきりとしないまま、
カーテンの隙間から差す光に、朝だと理解する。
ベッドの横に脱ぎ捨てられている、自分の服と先輩の服に視線がうつる。
横に向いている体をの向きを変え、静かに後ろを振り向いた。
私に腕枕をしたまま、
後ろから自分を抱き抱えるようにしている先輩が、
こちらを向いたまま目を閉じていた。
その寝顔を見て、クスっと微笑む。
先輩、
朝弱いんだったな。
自分を包むように抱き抱えている先輩の腕の中で、込み上げる愛しさから、
そっと先輩の胸に寄り添う。
こんなに幸せでいいのかな・・・。
腕の中で、昨夜の先輩を思い出す。
強引な言動だが、先輩の強い想いと優しさがその腕から、体温から、伝わるようだった。
先輩の寝顔を見上げる。
今まで、こんなに力強く、優しく抱かれたことがあるだろうか。
この人と、ずっと一緒にいたい。
この幸せをずっと守りたい。
その想いが込み上げてきて、まだ眠りの中の先輩に
優しくキスをした。
体の向きを変える。
先にベッドから出て、服を着ようと腕をすり抜けようとした。
その時。
『・・・きゃっ///』
突然、ぎゅっと胸元に手を回され抱き締められ、
小さな悲鳴と共に体を丸める。
『せっ・・先輩っ・・・・!?////』
声を殺し、笑いをこらえたような先輩の笑い声が背中から聞こえる。
『どこ行くんだよ』
『おっ・・起きてたんですか・・っ?!///』
顔を赤らめて後ろを振り向くと、先輩が小さく笑った。
『朝から、まさか莉菜に寝込み襲われるとはな。』
ふっと目を細めて先輩が笑う。
先程の自分からしたキスを思いだし、一気に顔が熱くなる。
『なっ・・・///襲おうなんてしてませんっ・・・!///』
『そんなことどこで覚えんの?莉菜、やらし。』
意地悪そうに片方の口角をあげ、先輩が笑う。
『ちっ・・・違いますっ・・!///』
顔を赤らめたまま、少し恥ずかしさから怒ったような表情で、ベッドから起き上がろうとする。
が、
先輩の腕に容易く引き戻され後ろから抱き締められる。
『行かせねえよ。まだ出ていいって言ってねえだろ。』
・・・・///
ドキドキと胸が脈打つ。
『昨日の莉菜。すげえ可愛かった。』
背中に顔をうずめながら、背中が小さくつぶやく。
『あんなやらしい声出して。』
・・・・っ!!////
もうっ・・・!///と少し怒って、振り返ると、声をあげて先輩が笑う。
『すまん。ちょっとからかい過ぎた。』
先輩がぎゅっと体を抱え込むように抱き締める。
『可愛かったよ。俺がおかしくなりそうで危なかった。』
安心するように息をつきながら、先輩が髪を撫でる。
・・・///
恥ずかしさで顔をあげられずにいると、先輩の声が聞こえた。
『曲。楽しみにしてる。』
先輩がふと、微笑みながら言った。
先輩っ・・・・
『莉菜、好きだ。』
ぎゅっと強く抱き締められる。
その深い温もりにそっと寄り添い、
幸せを感じて目を閉じた。