【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
俺は帰宅する足のまま、マンションから少し離れた大きなデパートに向かった。
今夜は俺が晩御飯作ってやろうと思ったからだ。
『うっわー! すっごくおいしい! おいしいよ、湊!』
なにを作ったとしても、多分あいつは目を輝かせて、そう言うんだろう。
亜瑚のご飯を食べている時の顔は、本当に幸せそうで、こっちまで幸せな気持ちになる。
「……ふっ」
買い出し中でさえ、あいつが騒いでるのを想像して思わず笑ってしまう。
そして晩御飯の買い物が終わり、出口近くの雑貨屋を通りかかった時。
「あはは! もう拓ちゃんったら!」
不意に、聞き覚えのある声を耳が拾った。
何気無く声がした方を見て、俺は言葉を失った。
「……っ」