【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?


「ひょ、ひょっほー! はひふんほ!」


「仕返しの仕返し」


「ほぇ!」


「はは、ぶさいく」


「ひ、ひほーい!」


そんなくだらないやりとりをしてふたりで笑い合っていると、一瞬バチンと視線がかち合い、お互いの笑顔が消える。

見つめ合う瞳に、熱が籠もる。


不意に湊の腕が伸びてきて、私の肩を掴んだ。


あ……。


鼓動がトクンとクンと高鳴りを増していく。


「……キス、したい」


湊の形のいい唇が、かすかに動く。


「……いいよ……」


掠れる声でそう答えると、湊の顔が近づいてくる。

体中が熱を帯びていくのを感じながら目をつむった、その時。


「あー! 喉乾いたー」


「こっちに水道あるよ!」


突然話し声が聞こえて、唇と唇の間が数ミリ、というところで湊の動きが止まる。


この声は、クラスメイトのものだ。

しかも、その声は近づいてきて、ここの水道に向かってきている。


まずい! 湊とふたりでいるところを見つかったら、確実に怪しまれる!

身の危険に体を強張らせたその時、突然グイッと手を引っ張られた。

< 188 / 238 >

この作品をシェア

pagetop