【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
「ひょ、ひょっほー! はひふんほ!」
「仕返しの仕返し」
「ほぇ!」
「はは、ぶさいく」
「ひ、ひほーい!」
そんなくだらないやりとりをしてふたりで笑い合っていると、一瞬バチンと視線がかち合い、お互いの笑顔が消える。
見つめ合う瞳に、熱が籠もる。
不意に湊の腕が伸びてきて、私の肩を掴んだ。
あ……。
鼓動がトクンとクンと高鳴りを増していく。
「……キス、したい」
湊の形のいい唇が、かすかに動く。
「……いいよ……」
掠れる声でそう答えると、湊の顔が近づいてくる。
体中が熱を帯びていくのを感じながら目をつむった、その時。
「あー! 喉乾いたー」
「こっちに水道あるよ!」
突然話し声が聞こえて、唇と唇の間が数ミリ、というところで湊の動きが止まる。
この声は、クラスメイトのものだ。
しかも、その声は近づいてきて、ここの水道に向かってきている。
まずい! 湊とふたりでいるところを見つかったら、確実に怪しまれる!
身の危険に体を強張らせたその時、突然グイッと手を引っ張られた。