【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
「こんなところに水道があったなんて知らなかった」
「穴場だよな」
水道の方からそんな声が聞こえてきてきた時には、私は校舎と倉庫の間で抱きしめられていた。
「みっ……」
「黙ってて」
耳元で囁かれ、息をのむ。
狭いから抱き合わなきゃふたりで入れないのはわかるけど、あまりに近すぎる。
こんなに密着していては、この暴れ狂う心拍数が、湊に伝わってしまう。
息を潜めて隠れていると、流れる水の音が聞こえなくなり、グラウンドの方に戻るのか、ふたつの足音は遠ざかっていった。
いつの間にか止めていた息を、大きく吐き出す。
「行ったみたいだな」
「うん」
「いいとこで邪魔しやがって」
腕の中で見上げると、むすっとした顔の湊。
「ふふ。怒ってる?」
「怒ってる。でもま、帰ったら、たっぷりさっきの続きするからいいけど」
「なっ!?」
かぁぁぁっと頬が熱を持つ。
湊の甘くて意地悪な一言一言には、まだ慣れそうにもない。
そんな私にはお構いなしで、湊はふっといたずらに笑うと、私の額にキスを落とした。