【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
マンションの部屋のドアの前に立つ。
亜瑚はもう帰っているのだろうか。
らしくなく、どこか緊張している自分がいた。
それほどに、だれかが家にいる感覚は久々で。
そっとドアノブに手をかけると、わずかに動く。
鍵は開いているようだった。
「……ただいま」
慣れない言葉を口にしながら、部屋のドアを開けた時。
パァーッン!と突然、破裂音があたりに鳴り響いた。
「……っ?」
目を点にしている俺の前に、クラッカーを持った亜瑚が走ってきた。
「湊、お誕生日おめでとー!!」
「え?」
「ほら、湊、一昨日誕生日だったんでしょ?
でも私、お祝いできなかったから、今日お祝いしようと思って」
亜瑚がまだ立ち尽くしている俺の後ろに回って、部屋の中へ促すように背中を押す。
「ほらほらー、主役さんは入って入って! 誕生日会しよ!」