【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
ちらりと視線をあげ亜瑚を見ると、おいしそうに表情をとろけさせながらハンバーグを頬張っている。
普通、知らない男と婚約させられたら少しくらい反発するだろうに、こいつは俺との生活が円滑に進むよう家事を進んでしてくれる。
そもそもこの婚約だって、遊びたい盛りの女子高生がいきなり結婚相手を決められたというのに、自分の生活よりも親や会社を優先させたのだ。
人のためなら、とことん頑張るタイプなんだろう。
「ねぇ、湊」
パスタを食べていた手を止めて、不意に亜瑚が声をかけてきた。
「ん?」
「その、さ、あの……」
自分から話しかけてきたくせに、もじもじと口ごもっている亜瑚。
「なんだよ」
焦れったくて言葉の先を促すと、亜瑚はおずおずと口を開いた。
「いや、あの、湊って人気すごいんだね」