【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
……物心ついた頃から、俺の将来はなんの色もない日々のくり返しになるのだろうと思っていた。
仕事で忙しい親父は、“あの事件”を境に俺を独りにしないようにと、婚約というしきたりを作った。
俺を気にかけてくれる気持ちはよく分かっていたから、なんの反発もしなかった。
むしろ、早く結婚することで親父が俺に気兼ねすることなく働ける環境ができればいいと思っていた。
でもその一方で、そんな結婚生活がうまくいくはずがないだろうとも思っていた。
なんの関心もない相手と結婚し、たいした関わりを持つこともなく、結局心の中はひとりぼっちのまま暮らしていくのだと。
でも今は、こんな日々も悪くはないのかもしれないと思う俺がいて。