【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
俺は真っ暗な世界を、闇雲に歩いていた。
なにかから逃げるかのように、やけに気持ちだけが急いでいる。
……向こうに誰かがいる。
なぜか足がそちらに引き寄せられていく。
走って近づくと、それは女の後ろ姿だった。
また数歩女に近づいた、その時。
ドックンッ……と心臓が低い音をたてて鳴った。
あ……、あ……。だめだ………。
頭ではわかっている。
その女に近づいてはいけないと。
でも、なぜか足が止まらない。
思いとは裏腹に体が動いてしまう。
そしてついに、女に向かって伸ばした手が、女に触れた。
それに応えるように、女がゆっくりとこちらを振り返る。
振り返った女の顔を見て、俺の心が凍りついた。