【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
「嫌な夢でも見た?」
「あ、うん……」
あの夢……久しぶりに見た。
「たまに見る……。嫌な夢」
「そうなんだ……。でも、大丈夫! これからは湊がうなされてても、私が起こしてあげるから!」
「え?」
「さっき、湊が私が怖がってたの和らげてくれたみたいに、私も悪夢から湊を助けるよ!」
そう言って、亜瑚は笑った。
温かくて、まっすぐな笑顔。
バカなくせに、お子ちゃまなくせに、なんでこんなにもこいつは、俺が欲しい言葉を惜しげも無く投げかけてくれるのだろうか。
「ありがとな」
亜瑚の手をもう一度握りしめる。
亜瑚も笑って、手を握り返してくる。
俺たちはお互いの存在をたしかめるように、ぎゅっぎゅっと何度も手を握りしめ合った。
「えへへ」
亜瑚が目を細めて嬉しそうに笑う。
なんだかこの手を離したくない。
繋ぎとめておけたらいいのに。
亜瑚の無垢な笑顔を見ていたら、無性にそう思った。