2人の陰陽師〔後半〕
その誘いは私にとって凄い甘美なさそい。
もしかしたら助けてくれるかも。
でも、それでも。
蓮をこんな危険なところへきてほしくなくて、会いたいけど会いたくないとせめぎあい、心がこわれそうだ。
「さて、そろそろ準備にとりかかるかの」
狐はそう言って私に近づいてきた。
「なにするつもり?」
「なに、ちょっとばかし人形遊びでもするんじゃよ。“妖術、不動縛、操り”」
しまった、と思ったときには遅く。
術をかけられてしまった。これがどんな術かかわらないが、よい術ではないことがわかる。
現にさっきまであった拘束をとかれても、身体が自分の意思では動かない。
「さぁーて、宴のはじまりじゃ」