それでも、好き

大切な人

コンテストまで迫ってきたけど、それでも優太が毎日のように
一緒に帰ろと言ってくる。

「なあ、今日も一緒に帰ろう。」

「き、今日はちょっと無理かな、ごめん……。」

「唯、最近変だぞ。」

「そ、そう?」

流石、鋭いな。まあ、理由教える訳にはいけないし。

「だって、ここ最近一緒に帰ってくれない。」

「ご、ごめんね。でも用事があるの。」

「わかった。」

明日頑張ったら、またゆっくり帰れるんだ、それまで待って欲しい。

「あ、やっぱりここだったんだ、唯。」

「よくここだってわかったね。稚夏。」

「まあ、明日がアレじゃあ、優太君ともゆっくりできないか。」

「うん、本当に申し訳ないんだよね。」

「でも、ホント唯って絵うまいよね、羨ましいよ。」

「そ、そんなことないと思うけど。」

実際、先生からも褒められるけど、なぜ選ばれたのかは自分でも
わからないんだよね。

「でも、最近優太君、モテてるよね。」

「そうだね。あんなに怖がれてたのに表情柔らかくなったからかな……。」

「付き合って何ヶ月目なの?」

「今でやっと一ヶ月かな?」
 
「喧嘩とかないよね。羨ましいよ。」

「そう?」

羨ましいとか思ったことないんだよね。恋とか初めてで、てんで何したらいいのかわかんないし。

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