春-始まりのうた-

ーーーチュンチュン

「瑠衣!おはよー♡♡」
「湊うるさいから、」
「しきちゃんの方がうるさーい!」

「おはよー 笑
朝から元気だね湊、笑」

毎日家まで迎えに来るこの2人。
笠原湊と松井しきは私と同じ県立山内高校2年1組の大親友。
いつも一緒にいる家族みたいなもん。

「瑠衣、あんた首に痣あるけど...」
「これはキスマではないみたいだね?」

しきの低くて冷たいクールな声と、
湊の甘くて可愛らしい声にいつもいつも
助けられてきた。


「あー、気づかなかったわ。」


私の身体にある傷を2人は絶対
見逃さない。
首元にある手形のような後の痣は
昨日龍樹につけられたもの。

私がDVを受けてることは
しきも湊も知ってるし、
浮気されてることも知ってる。

だけど別れろ、とかは言わない。

言ってもどうせ私はそうしないから。




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