春-始まりのうた-
龍樹の好きな服を着て、
好みの化粧をして、
携帯は龍樹の前では触れないから
置いていく。

鞄に財布とタオルとポーチを入れて
私は公園に向かった。

13時。

「瑠衣ー!」

私の大好きな龍樹。
大好きな声。

「チケット、いくらだった?
お金払うよ!」

「あー、それは要らないから
電車代だけ払ってくんない?」

「もちろん!いーよ!
じゃぁいこ?」

駅までは歩いて、
ここから1時間電車に揺られて
ライブ会場に向かった。

途中、寝ちゃった龍樹の寝顔を
そっとみてたら龍樹のポッケが震えた。

なんだろ、電話かな。

そう思って見れば

【ゆりな】

知らない女の名前。


だけど別にいいんだ。
浮気だろうがなんだろうが。

愛がないことくらい
わかってたもん。
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