彼氏いません。
「桜…手厳しいね相変わらず」
「そう?」
「あの西牟田先輩をそんな風に扱えるの桜くらいだよ…」
「女子の中ではね。でもきっと私だけじゃないわよ」

どうかなぁ…といった苦笑いを浮かべた雪は、しばらくしてから何か思いついたように顔を輝かせた。

「ね、桜!西牟田先輩と付き合えばいいんじゃない!?」
「本気で言ってるなら縁切るわよ」
「…冗談デス」

雪は目を泳がせながら提案を取り下げた。

「おいなんの騒ぎだ」

突然聞こえてきたのは低い声。
廊下を見れば、一人の先生が歩み寄ってきていた。

「あ、高橋先生だ!」
雪が目を輝かせる。

「かっこいいよねぇ…クールで長身で細身で…なおかつ顔もいい…」
「先生の一番好きなところは?」
「顔!」

雪は気持ちいいくらいきっぱりと言い切った。
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