レヴィオルストーリー
「…何か悲しいの?」
「え?」
子供アレンは今度は驚きを表情に出す。
碧の瞳が見開かれた。
「だって、アレン、笑顔がなんかちがうよ。笑う時は、何か幸せなことを考えるんだ!!」
ギルクはニコーッと笑い、アレンの手を今度は両手で握る。
「…シアワセナコト…」
「そう!!例えば、アイスクリーム百個食べれるとか、新しいおもちゃ買ってもらえるとか!!」
ギルクは例えを出す度に笑顔になる。
それをアレンはジッと見つめていた。
「…シアワセ…」
「いっぱいありすぎて困る?」
子供ギルクは笑顔のまま聞く。
「…ううん…、思い付かないや」
アレンの言葉にレイは目を見開いた。
8歳の、普通ならにこにこ笑ってみんなと遊んでいるような子供が、幸せなことがわからないと言っている。
「え?そうなの?」
ギルクが少し困った顔をした。
それを見たアレンの顔がこわばる。
ロンはアレンを眺めて難しい顔をしていた。
「…ん~、そうだなぁ。じゃあ、お母さんとお父さんと手繋いで遊んでるところ!!」
ギルクが例えにしたのは、普通ならどんな子供でも喜ぶ光景。
それなのにアレンは、更に顔をこわばらせた。
その表情には若干恐怖も入っている。
「アレン…?」
レイは困惑した様子でアレンを見た。
イルは心配そうな顔をしている。
にこにこしていたギルクも、アレンの異変に気が付いた。
「…アレン?どうしたんだぁ…?」
心配そうにアレンの顔を覗き込む。
────────やめて……。
みんなが見てくる。
困惑、心配、難しい顔。
────────あの人たちが、してた顔だ…。
「……嫌だ…」