レヴィオルストーリー
「何でなにも言ってくれなかったの?」
スーリンが悲しそうに言う。
「…言ったら広まるから。」
「広まっちゃ嫌?」
「嫌だ。」
アレンはそう言うとユナル達に向き直った。
「ユナル達に言わなかったのは悪いと思ってる。ごめん。でも、それだけのためにここまで来たんじゃないんだろ?」
「鋭いな、やっぱりアレンだ。」
エニスがアレンを観察しながら言う。
「俺以外誰なんだよ」
「…さぁ。でも、旅では街にいたときの性格じゃないのね。私たちにだけ見せてた性格だわ。」
ユナルが微笑んだ。
「ずいぶん楽そうね」
「……………。」
アレンは黙って膨れてしまった。
「ねぇ、スーリンさん、アレンの表の性格どんなんだったの?」
イルが一番お喋りそうなスーリンに聞いた。
「いっつもにこにこしてて、すごく優しいの。学校の授業はよくサボってたけど、剣の修行はすんごいしてたのよぅ。」
「…余計なこと言うなって…。」
「あら、アレンは今も優しいわよ?剣の腕も凄いし。」
レイがつんと言い放った。
アレンにくっつくスーリンが気に入らないらしい。
「…そうだけどぉ~、何、あなた。旅の仲間?」
スーリンがジロッとレイを見た。
「で?他の話あるんだろ」
二人の女の間で火花が散る中、アレンはさっと話題を変える。
「あぁ、でもアレンがこんなに旅を楽しんでるならもういいわ。どうせお父さんが勝手に言ってるだけだし。」
「街長?」
ユナルの父はカルアシティの街長だ。
その街長が何か言ってるらしい。
「ええ、何か戻って来いとか言ってるのよ。」
「嫌だ。何でだよ」
即答。
「…南の塔の守人になってほしいって。」
「馬鹿にしてんのか」
アレンはユナルを睨み付けた。
ものすごい迫力だ。
スーリンはぞっとした。
「してないわ。私も反対したもの。
私達が来たのは、アレンに会いたかったから。
お父さんには承諾したフリしてあるの。断られたって言っとくわ。」
ユナルはアレンの迫力に全く動じずに言った。