レヴィオルストーリー
「え?」
42代目の墓がない。
見間違いかと思い、何度か周りを見回した。
─────やっぱり、ない。
墓は43代目で終わっている。
確か、魔王が国を乗っ取った時の国王、つまり勇者は43代目だったので、それは理解できる。
けど。
(…何で、42代目のはないんだ?)
42代目の場所には地面しかない。
わからない。
今までのは、全部揃っていたのに。
────ザッ……
不意に後ろから音がした。
驚いて振り返るアレン。
そこには、白髪の60歳くらいかと思われる老人が立っていた。
小柄な男だ。手には花を持っている。
「………………。」
しばらく無言でいた。
老人はアレンを見た瞬間、目を見開き驚いて花を落としてしまった。
ここに人が来ることがそんなにもめずらしいのだろうか。
「…あの?」
あまりにもジッと見てくるので耐えられなくなったアレンは口を開いた。
「…あ、ああ、ん?何じゃ?」
老人はハッとしてすぐに優しい笑みをした。
「…人がいるのが、そんなにめずらしいんですか?」
アレンが聞くと、老人は首をかしげた。
「む?何故そんな質問をする?めずらしくなんかないぞい」