レヴィオルストーリー
第四章◆絆と想い
黒で統一された広い場所。
明かりが蝋燭だけだからか薄暗い、しかし豪華なその部屋に“それ”はいた。
〈…何事だ〉
地を這いずるような低く恐ろしい声が響く。
やはり黒い椅子に座る“それ”自身も真っ黒だ。
「はい、あいつから伝言でございます」
“それ”の前で跪き、頭を下げている少年は柔らかい声でそう報告する。
薄暗いせいかその姿はよく見えない。
「どうやら予言のことを知ったようで。」
〈ほう。〉
“それ”は興味ありげに呟いた。
跪いていた少年は顔を上げる。
その拍子に青白い炎のついた蝋燭がその顔を照らした。
赤い瞳に灰色の髪。整った顔立ち。
「早めに殺っときますか?」
少年は優しい印象の容姿からはとても想像できないような、恐ろしい発言をした。
その問いに黒一色の“それ”はしばらく考えた後に呟く。
〈…そうだな。〉
「俺がしましょうか?」
少年は口の端を不気味に吊り上げ笑いながら訊いた。
さっきまでの優しい印象はもうすでにない。
〈そうしろ。あとあいつもだ…。いいことを思い付いた。〉
“それ”と手まねきされた少年は二人で何やら話し込む。
やがて。
「…わかりました。仰せのままに。」
少年は立ち上がって柔らかく微笑みそう言うと一つ礼をし、その場から立ち去った。
〈ははは…楽しみにしているぞ…〉
真っ黒な室内に、恐ろしい笑い声が響く。