レヴィオルストーリー
「何で。」
言葉少なに聞いたアレンは完璧にお金のことしか考えていない。
レイにアレンの目が¢に見えるほどだ。
「だって…怖いんだもの」
老婆に聞かれないよう、レイは小さく言った。
「泊まれるならどこでもいいじゃん」
しかしアレンはさらっと流してしまう。
「そうかいそうかい。一人一部屋だよ。こっちにおいで。」
怪しい老婆は手招きしながらにやついていた。
その言葉にイルが震え上がる。
「ひっ…一人一部屋?!あ、あたし…、せめてギルクと一緒にぃ…」
「構わんよ」
老婆はひっひっひっ、と怪しげに笑い答えた。
ほっとしたイルは絶対離れないとばかりにギルクにしがみつく。
「わ…私も…誰かと…」
さすがにアレンと二人で、何て大胆な発言はできないレイは遠慮がちにそう言った。
すると、
「レイはアレンと、だなぁ!」
察したギルクがすぱっと言い放つ。
かなり潔い。それがギルク=カクブェンたる男。
「ぎ、ぎぎギルク!!」
レイは真っ赤になってギルクの口を押さえた。
「むぐっ…」
何でだよ、と目で訴えるギルクだが、レイは無視してアレンを見やる。
彼はいつもながらに無表情だ。
しかし、次の瞬間。
「じゃあそれで」
このアレンの形のいい唇から放たれた言葉に、みんなが目を丸くした。
「え…、あ、アレン、本当に?」
「…ん?レイ、一人がいいのか?」
「い、嫌よ」
「ならいーんじゃね」
ギルクとイルが金魚みたいに口をぱくぱくさせているのに全く気付かないアレンはそう言うと老婆について行く。
平然と、ごく普通に。
「…アレンさ、自分の言ったことわかってんのかなぁ」
イルがギルクにしがみつきながら聞いた。
「…わかってるけどわかってないと思うぜ…」
ギルクの声も感極まるレイには聞こえていなかったとか。