レヴィオルストーリー
短く答えたアレンは側にある水の入った水筒を掴み、蓋を開ける。
そのままゴクゴクと飲んだ。
「…知らなかったわ。だからいつも寝るのが早くて起きるのが遅いのね」
レイはクスクス笑いながら言った。
「………。」
アレンは若干むすっとする。
少し濡れた曖昧な色のストレートの髪が、月明かりに照らされていた。
レイはついその姿に見とれてしまう。
と、その時。
「…!?」
急にアレンがレイの手を引き、自分に寄せた。
レイはびっくりしてされるがままになる。
「え…アレ…」
「しっ…」
心臓バクバクのレイの声を遮りそう言ったアレンは辺りを見回した。
そして、また剣を抜く。
「レイ。周りに何かいる。」
「え?!」
全然わからない。
が、次の瞬間、レイがいた木陰のすぐ隣から何かが飛び出してきた。
「きゃっ…」
ビックリして声を上げたレイを庇いながら、アレンはさっと剣を振り降ろす。
ドサッ……………
「…魔物…」
二人の足元には、たった今アレンに仕留められた魔物が倒れていた。
月明かりに照らされたそれからは緑色の血が流れている。
「…殺しちゃったか」
アレンは眉根をよせて嫌そうにそう言う。
それは半分人だが半分熊だ。
魔物は名前を持たず、いつも不可思議な形質をしている。
グルルルル………
「…嘘、こんなに…」
いつのまにか二人の周りに円を作るように、色んな魔物が集まっていた。
「…めんど…」
こんなときにめんどくさがりな性格を出すアレン。
「そんかこと言ってる場合じゃ…」
レイの声を何かが遮った。
―――悲鳴だ。
「!!…イル!?」
それは宿から聞こえた。
明らかに、イルのものだ。