レヴィオルストーリー
「氷の精霊さん、お願いね」
手を突き出したまま軽く動かすと、可愛いペンギンは嘴の先に水色の光を集め出す。
それを確かめたレイはギュッと手を握り拳を作ったあと、それをパッと離した。
同時にペンギンの嘴から何本もの氷柱が放たれる。
それは魔物に当たり、確実に倒していった。
「…すげぇな」
チラッとそれを見たアレンはにっと笑ってそう呟く。
すでに魔物は全て倒され、老婆だけが残っていた。
「…やるのぅ」
フードの下で笑いながら老婆が呟く。
アレンはその喉元に剣先を向けた。
「何が目的だ」
静かに相手を睨みながら聞く。
いつもながらに凄い迫力だ。
「…新しい下僕さね」
「新しい下僕?」
レイが老婆の言葉を繰り返した。
「そう…例えば、魔物と違って力が強くて逞しく、家事もできるような筋肉質な奴」
「…ギルクは家事はできないけど」
老婆の言う人物が誰なのかを悟ったアレンは呆れながら頭を掻く。
それでも剣は下ろさない。
「そんなもの後からでもよいのさ」