レヴィオルストーリー
「私はあれを気に入った。だからもらうさね」
老婆はそう言うとにたりと笑い、次の瞬間消えた。
「……え?!」
「……はぁ」
レイは驚き、アレンはため息をつく。
「消えた…?!どうして?」
「あれは偽物だ。ギルク達のところ行こう…」
さらっとそう言うとアレンは走り出した。
「ま、待ってっ…、気付いてたの?」
「…途中から」
「うそっ…、きゃっ」
隣に来たレイをいきなり片手に抱えたアレンは、更にスピードを上げた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……何だこれ」
すぐに宿についたアレンとレイ。
二人は宿を見上げ、愕然としていた。
「…魔物がうじゃうじゃ…」
宿には玄関から屋上まで、さっき倒したのよりもたくさんの魔物が陣取っている。
ギルク達の部屋は静まっていた。
そんな中たくさんの種類の魔物を見てアレンが一言。
「…きもい」
「え、アレン?…普通その前に心配するでしょう?」
静かに突っ込んだレイは部屋を見上げた。
「…いちいち戦うのか?めんどい」
全く二人の心配をしていないアレンはそう呟くと頭を掻く。
「もう、アレンったら。少しは心配しなさいよ?」
「まぁ大丈夫だろ」
――――流した…。
「…もう、せっかく移動の精霊呼ぼうかなって思ってたのに。やーめた。」
美少女はわざと聞こえるようにそう呟いた。
するとアレンはピクリと反応して隣の彼女を見る。
「…レイ、早く行こう。あいつらが心配だから」
「そうね、心配よね」
レイはアレンの扱い方を学習したのだった。