レヴィオルストーリー
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「ふぅ。これでひとまず大丈夫ね」
レイは水色に光る手をギルクから離すとため息と共に呟いた。
その手の甲には手のひらサイズの兎がはりついている。
またもかわいらしい外見のそれは、癒しの精霊と呼ばれるものだ。
「はい、次はイルよ」
「レイ、お前大丈夫か…?」
イルを支えるアレンの方を振り向いたレイにそう聞くと、彼女は微笑んだ。
「あら、私がこれくらいで疲れるとでも言いたいの?」
「若干青ざめてるくせに」
アレンの言葉にレイは次は少しムッとする。
「大丈夫よ」
「意地はるな」
アレンに額を小突かれたレイは今度は素直に疲れたような顔をした。
「癒しの力は他の精霊より主の力を使うのよ。…でも、イルも治さないと」
その泣いていたイルは疲れたのか眠り込んでいる。
「…すぐに休めよ」
「…えぇ」
何気ないアレンの優しさに少しときめきながら、レイはイルの治療を始めた。
怪我が治ってしばらく経つと、イルは自分で起きた。
「…はれぇ」
「あれぇ」を「はれぇ」と言ったイルはギルクを見ると飛び上がる。
「ギルク!治療しなきゃ…??」
すっかり綺麗に消えたギルクの腹の傷のあったところを見ると、彼女は瞬時に何があったか理解した。
「レイ!ありがとうッ」
「仲間なんだから…当然よ」
座って休んでいたレイは微笑むとそう言う。
その横でしゃがんでいるアレンは何かを考えていた。
「アレン?」
イルがアレンを眺めながら首をかしげる。
「さっきからずっとこうなのよ。」
答えないアレンの代わりにレイが返事をした。
その時、急に声が。
「………イルぅッ!!!!」
いきなり呼ばれたイルは驚いてそちらを見やる。
「…ギルク!」